V6プラス環境下でSynologyの仮想ホスト機能を使ってWebサーバーを立ち上げる

最近インターネット接続方式がV6プラスとなり従来の接続方式よりも混雑しにくく、快適なインターネット環境を構築することが可能となりました。

v6プラスとは、NTT東日本・西日本の提供するフレッツ光回線を利用した新しいインターネット接続方式のことです。

v6プラスは、別名「IPv6/IPv4インターネットサービス」と呼ばれており、「IPv4 over IPv6接続サービス」の名称を指します。

自宅にWebサーバーを立ち上げるにはhttp:ポート番号80、https:ポート番号443をルーターにて開放しなければなりません。

しかしV6プラス環境下ではこの番号のポート開放が出来なくなりました。

そこで使用できるポートを利用してSynologyの仮想ホスト機能を使ってWebサーバーを立ち上げました。

まず始めにブラウザからのアクセスとポート番号の関係です。

サイトのドメイン名を例として「myddns.synology.me/wordpress」とします。

①http://myddns.synology.me/wordpress

ポート番号:80でアクセスがきます。

②https://myddns.synology.me/wordpress

ポート番号:443でアクセスがきます。

③http:/myddns.synology.me:8443/wordpress/

ポート番号:8443でアクセスがきます。

すなわちブラウザはポート番号を指定した場合はそのポート番号、指定しない場合は「http」と「https」でポート番号を切り替える仕様となっています。

手順を紹介します。

1.使用出来るポートの確認

NTT東日本フレッツ日か回線:光ルーター:PR-500MIへアクセスします。

「http://192.168.1.1:8888/t」へアクセスします。

IPoE ipV4設定を開きます。

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利用可能ポートが羅列されています。この中のポートを使ってポート開放します。

ポート番号:9312,9313を選びました。

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次にポート開放の設定をします。

静的IPマスカレード設定を開きます。

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No.1をクリックして対象プロトコルを”TCP”に、公開対象ポートとLAN側宛先ポートを選んだポート番号9312と入力します。LAN側宛先IPアドレスはSynology NASの固定IPv4アドレス:192.168.1.10にします。

No.2をクリックして対象プロトコルを”TCP”に、公開対象ポートとLAN側宛先ポートを選んだポート番号9313と入力します。LAN側宛先IPアドレスはSynology NASの固定IPv4アドレス:192.168.1.10にします。



2.Synology NAS DDNSドメインの設定

1.コントロールパネルの「外部アクセス」メニュを起動します。

 2.開いた画面から「DDNS」タブを選択すると下記画面が開きます。

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上記画面の「追加」ボタンを挿入します。

下記画面が表示されます。

 

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DDNSプロバイダでSynologyを選択します。

尚、Synologyから取得できるDDNSはサーバに1個だけです。

下記の画面が表示されるので必要事項を入力します。

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3.Webサーバーの構築

Webサーバーを構築するため、Web Station、Apache、PHP、phpMyAdmin、MariaDBをインストールし最後にWordPressのインストールを行います。

3-1.Web Stationのインストール

パッケージセンターの画面にある「インストール」ボタンを押して行います。

アイコンをクリックしてディスクトップに追加します。

3-2.Apacheのインストール

パッケージセンターの画面にある「インストール」ボタンを押して行います。

3-3.PHPのインストール

PHPもパッケージセンターでインストールします。

バージョンはPHP8、PHP8.2をインストールしました。

phpMyAdminを使う場合はPHP7.3以上が必要です。

インストール完了後にWeb Stationで「スクリプト言語の設定」でPHPがリストにあることを確認してください。

PHPを選択して「編集」ボタンを押します。

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表示した画面の「拡張」を選択し、すべてのチェックボックスにチェックを入れます。

保存を押します。

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これでPHPの拡張機能がすべて使えるようになります。

 3-4.[MariaDB」のインストール

DSM7ではMySQL互換のMariaDBが提供されています。

これもパッケージセンターでインストールします。

インストール時にパスワードの設定を要求してくるので作成します。

パスワードを入力して「次へ」を実行します。確認画面がでるので「適用」ボタンをクリックします。

インストールが実行されます。

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インストールが完了するとアイコンがメインメニュに追加されるのでディスクトップに追加してください。

3-5.[MariaDB」の設定

MariaDB10のアイコンをクリックすると下記画面が表示されます。

TCP/IP接続を有効にするに✔を付け「適用」ボタンをクリックします。

以上でMariaDB 10のインストールを設定が完了しました。

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MariaDBの設定環境は下記になります

ID:root

パスワード:入力したパスワード

アクセス方法:「ポート番号」と「ドメインソケット」が利用可

3-6.phpMyAdminのインストール

 phpMyAdminは、MariaDBをダイレクトにアクセスするツールです。

DBの作成、DBのエクスポート、SQLファイルのインポート等の作業が行えます

これもパッケージセンターでインストールします。

インストールが完了すると下アイコンがメインメニュに追加されるので、ディスクトップに追加してください。

[phpMyAdmin]は[web_packages]フォルダ配下に作られます。

ブラウザでアクセスするときは「http://NAS名/phpMyAdmin」となります。

3-5.新しいDB管理者を登録する

ログインは、MariaDBインストール時に設定したユーザー名:rootとパスワードを使います。

ログインしてMariaDB10にWordPressをインストールするDBを作成します。

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管理画面が表示されたら、『データべース』タブをクリックします。

データベース名:任意の名前です。testblogとしました。

照合順序:「utf8_general_ci」を選択して下さい。[作成]ボタンを挿入します。

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phpMyAdminの左ペインに、新しく作成したDBが表示されます。

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3-7.Web Stationの設定

webサービス>デフォルトサービスを選択し編集をクリックします。

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Apache HTTP Server 2.4を選びます。

保存をクリックします。

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Web Stationのアイコンをクリックして開きます。

Webポータル>作成を選びます。

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ディフォルトサーバーの代替えポータルを選びます。

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ポータルタイプをポートベースにしHTTPS にチェックを入れポートを9313とし作成を押します。

 


phpMyAdmin

Webポータル>作成を選び、Webサービスポータルを選びます。

 

サービスはphpMyAdminを選び、HTTPSにチェックを入れ、ポート番号9312を入力します。

HTTPS設定はHSTSにチェックをいれ、作成を押します。

 

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webポータル設定後の状態

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3-6.日本語WordPressのダウンロード

WordPressはNASにあるパッケージではなく、手動でインストールします。

手動でインストールした場合は

①日本語WordPressは「Webフォルダ」の下に配置します。

②phpMyadmin、WordPresパッケージは「web_packagesフォルダ」の下に配置されます。

よって「80/443」以外のポート番号でアクセスする場合は日本語WordPress用・phpMyAdmin用の様に複数定義する必要があります。

DSM7上での説明となっていますが、DSM6でも基本的には同じ項目の設定となります。

下記の日本語WordPressののサイトに入ります。

https://ja.wordpress.org/download/

ダウンロードしてインストールを実行します。

WordPress 6.5.3をダウンロードします。

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 WordPress圧縮ファイルがダウンロードされました。

File Stationを起動し「webフォルダ」を開きます。

アップロードを選びWordPress圧縮ファイルをアップロードします。

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webフォルダーの中にダウンロードしたWPのZIPファイルがありますので、
このファイルを右クリックして解凍→ここに解凍するを実行して、解凍します。

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 webフォルダーの中にWordPressのフォルダーが作成されました。

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入手した日本語版WordPressのフォルダー名はwordpressになっているので、このままインストールするとサイトURLは下記になります。
https://ドメイン名/wordpress/

上記のフォルダ名を右クリックで名前の変更で任意名称に変更してください。testblogと変更しました。
サイトURLはhttps://ドメイン名:9313/testblog/となります。

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3-6.WordPressのインストールと設定

1)WordPressのインストール

①ブラウザーからフォルダをアクセスします

最初に「http」でアクセスするのか「https」でアクセスすのかは重要です。

「https」でアクセスしてDBを作成すると、始めからhttpsでコンテンツが作成されます。

②下記画面が表示されます。

「さあ始めましょう」をクリックします。


③データベースへのアクセス条件を入力します。

データベース名:phpMyAdminで作成したデータベース名です。

ユーザ名:phpMyAdminへのログインIDです

パスワード:phpMyAdminへのログインパスワードです

データベースのホスト名DSM7系:localhost

テーブル接頭辞はそのままでwp_にします。

「送信」ボタンをクリックします。

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 ④「インストール実行」ボタンをクリックします。

 

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⑤WordPressに「ログインする為の情報」を入力します。

サイトタイトル:サイトの名前です。後でも修正できます。

ユーザ名:このサイトにログインするユーザ名です。パスワード:ユーザ名のパスワードです。

メールアドレス:貴方のメールアドレスです。検索エンジンでの表示:チェックする。

サイトが完成した段階でチェックを外せば良いです。

⑥「WordPressをインストール」をクリックします。

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 ⑦完了メッセージが表示されます。

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⑧ログイン画面がでます。

ューザー名、パスワードを入力してログインします。


⑨WordPressのダッシュボードが開きました。

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 2)WordPressの設定変更

これは必須作業です。これを行わないとWordPressやプラグイン等の更新ができません。

wp-config.phpを変更する。

WordPressフォルダtestblogを開くと「wp-config.php」が一覧にあるので、このファイルを開きます。

下記を追加してください。

define(‘FS_METHOD’,’direct’)

これは、このDBは直接更新しますという意味です。

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これでWordPressの更新ができます。

以上でWordPressのインストールが完了しました。

以上です。

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