RTX 4060 TiでAI文字起こしを高速化!faster-whisperのGPU環境構築とトラブル解決記録

GPU対応の faster-whisper をローカル環境に構築することで、高速かつ高精度な文字起こしが可能になりました。

今回は、GPU「RTX 4060 Ti(6GB)」を搭載した自作デスクトップPCに構築し、実際に動作検証を行いました。

クラウド型サービスとは異なり、インターネット接続を必要としないため、音声データを外部に送信することなく処理できます。

そのため、プライバシー面でも安心して利用できる環境です。また、利用時間や回数の制限がないため、長時間の音声ファイルでも安定して処理できます。

会議録、講演、インタビューなど、文字起こし作業を頻繁に行う用途において非常に有効です。

精度については、CPUとGPUで大きな差はありませんが、処理速度には明確な違いがあります。

CPUでも動作は可能ですが、長時間音声では処理に時間がかかります。一方GPUでは並列処理により、大幅な高速化が実現され、1時間程度の音声であっても短時間で文字起こしが完了します。

今回の環境では、GPU使用率約85%、VRAM使用量約5.4GBで安定動作し、CPU環境と比較して大幅な処理時間の短縮を確認できました。

faster-whisperは、OpenAIの音声認識モデル「Whisper」をベースに高速化された文字起こしライブラリです。

高速推論エンジン CTranslate2 を採用しており、従来のWhisperよりも少ないメモリで効率的に動作します。

    1.Pythonのダウンロード、インストール

    以下のサイトから「Python 3.14.6 を探して「Download Windows installer (64-bit)」を選択してダウンロード、インストールします。

    Windows向けPythonリリース

    Pythonが正しくインストールされているか確認します。

    インストールが終わったらPowerShellを開いて、次のコマンドを入力します。

    PowerShellの .\ は「現在のフォルダ内のプログラムを実行する」という意味です。

    PythonがPATHに登録されている場合は python –versionと入力するだけでよく、.\python –versionとすると現在のフォルダにPython実行ファイルが存在しないためエラーになります。

    python --version

    「Python 3.14.6」と表示されればインストールされています。

    2.仮想環境の作成

    仮想環境とは、Pythonの実行環境をプロジェクトごとに分離して管理する仕組みです。

    通常、Pythonライブラリをインストールするとパソコン全体で共有されます。

    しかし、複数のソフトウェアで異なるバージョンのライブラリが必要になると、互換性の問題が発生する場合があります。

    そこで仮想環境を利用すると、プロジェクトごとに独立したPython環境を作成できるため、他のソフトウェアに影響を与えることなく必要なライブラリをインストールできます。

    今回のfaster-whisper環境でも仮想環境を利用することで、Whisper関連のライブラリやCTranslate2を安全に管理でき、将来的なアップデートやトラブル発生時の切り分けも容易になります。

    「python」:Python本体を実行する命令

    「-m」:モジュールを実行するオプションでPythonに標準で入っている機能を直接呼び出すときに使います。

    「whisper_env」:作成される仮想環境のフォルダ名です。

    python -m venv whisper_env

    whisper_envはPC_user1(個人フォルダー)直下に作られています。

    whisper_envフォルダー内には下記が作成されます。

    「python.exe」:pythonの実行ファイルです。

    「pip.exe」:インターネット上のPythonパッケージ配布サイト(PyPI)から必要なファイルを取得し、ライブラリをインストールします。

    「activate.bat」:仮想環境を有効(アクティベート)するためのバッチファイルです。

    3.仮想環境を有効化します。

    PowerShellを起動し、仮想環境があるフォルダへ移動します。

    cd .\whisper_env

    実行後は次のように表示されます。

    PS C:\Users\PC_user1\whisper_env>

    仮想環境を有効にします。

    次のコマンドを実行します。

    .\Scripts\Activate.ps1

    正常に有効化されると、プロンプトの先頭に仮想環境名が表示されます。

    (whisper_env) PS C:\Users\PC_user1\whisper_env>

    この表示になれば、仮想環境が有効になっています。


    4.CUDA Toolkitのインストール
    4-1. Toolkit 12.9.1のインストール

    CUDA Toolkit(クーダ・ツールキット) は、NVIDIA製GPUを利用して高速な計算処理を行うための開発ツール群です。

    GPUを画像表示だけでなく、AIや機械学習、動画処理などの計算に利用するためのソフトウェア一式です。

    faster-whisperとの関係

    faster-whisperはGPUを利用する際に、faster-whisper→CTranslatw2→CUDA→RTA4060 Tiという流れで動作します。

    つまり、CUDAがあることでGPUの計算能力を利用できるようになります。

    4-2.CUDA 13.3で発生したエラーについて

    NVIDIA公式サイトから最新版CUDA Toolkit 13.3をインストールして実行しましたがGPUエラーが発生しました。

    RuntimeError:
    Library cublas64_12.dll is not found

    4-3.12.9.1を採用した理由

    原因はctranslate2 4.8.0はCUDA12系DLLの要求にたいしてインストールしたのはCUDA13.3でバージョン不一致によるものです。

    CUDA Toolkit 13.3は残し、CUDA Toolkit 12.9.1 をインストールしました。

    下記サイトにてインストールします。

    CUDA Toolkit 12.9.1 Downloads


    5. GPU認識の確認

    5-1.GPU認識

    自作ディスクトップパソコンにRTX 4060 Ti を搭載していますがこれが認識されているか確認します。

    nvidia-smi

    GPU情報が表示されていますので CUDA ドライバは正常です。

    (whisper_env) PS C:\Users\PC_user1\whisper_env> nvidia-smi
    Mon Jun 15 11:17:24 2026
    +-----------------------------------------------------------------------------------------+
    | NVIDIA-SMI 591.74 Driver Version: 591.74 CUDA Version: 13.1 |
    +-----------------------------------------+------------------------+----------------------+
    | GPU Name Driver-Model | Bus-Id Disp.A | Volatile Uncorr. ECC |
    | Fan Temp Perf Pwr:Usage/Cap | Memory-Usage | GPU-Util Compute M. |
    | | | MIG M. |
    |=========================================+========================+======================|
    | 0 NVIDIA GeForce RTX 4060 Ti WDDM | 00000000:01:00.0 On | N/A |
    | 0% 57C P8 5W / 160W | 701MiB / 8188MiB | 0% Default |
    | | | N/A |
    +-----------------------------------------+------------------------+----------------------+

    5-2.GPUで動作するか確認

    メモ帳でGPU動作確認用test.pyを作成し保存します。

    from faster_whisper import WhisperModel
    
    model = WhisperModel(
     "small",
     device="cuda",
     compute_type="float16"
    )
    
    print("GPU認識成功")

    実行します。

    python test.py

    正常ならGPU認識成功と表示されます。

    GPU認識成功


    6.faster-whisperのインストール


    faster-whisperは、OpenAIが公開した音声認識AIモデル「Whisper」を高速化した文字起こしライブラリです。

    高速推論エンジンCTranslate2を採用することで、従来のWhisperと同等の認識精度を維持しながら、処理速度の向上とメモリ使用量の削減を実現しています。

    GPUを利用した高速な文字起こしはもちろん、CPU環境でも動作するため、ローカル環境で手軽に高精度な音声認識を利用できます。

    6-1.pipを最新版に更新します。

    python -m pip install --upgrade pip

    これで以下のライブラリも自動的にインストールされます。

    ・faster-whisper ・CTranslate2 ・onnxruntime ・tokenizers ・av ・numpy

    6-2.インストール確認

    pip show faster-whisper

    インストール確認結果です。

    (whisper_env) PS C:\Users\PC_user1\whisper_env> pip show faster-whisper
    Name: faster-whisper
    Version: 1.2.1
    Summary: Faster Whisper transcription with CTranslate2
    Home-page: https://github.com/SYSTRAN/faster-whisper
    Author: Guillaume Klein
    Author-email:
    License: MIT
    Location: C:\Users\PC_user1\whisper_env\Lib\site-packages
    Requires: av, ctranslate2, huggingface-hub, onnxruntime, tokenizers, tqdm
    Required-by:

    以下のように表示されています。成功です。
    Name: faster-whisper
    Version: 1.2.1
    Location:C:\Users\PC_user1\whsper_env\Lib\site-packages

    6-3.動作確認

    pythonを実行します。

    python 

    Pythonの >>>が表示されている状態です。

    (whisper_env) PS C:\Users\PC_user1\whisper_env> python
    Python 3.14.6 (tags/v3.14.6:c63aec6, Jun 10 2026, 10:26:10) [MSC v.1944 64 bit (AMD64)] on win32
    Type "help", "copyright", "credits" or "license" for more information.
    >>>

    >>>以下入力します。

    from faster_whisper import WhisperModel

    エラーが出なければ次に 

    print("faster-whisper OK")

    を入力して Enter

    faster-whisper OK

    と表示されます。

    確認が終わったら

    exit()

    で終了できます。

     

    7.文字起こし実行用の「.py」フフイルの作成

    このプログラムは、faster-whisper を利用して音声ファイルを文字起こしし、その結果をテキストファイルとして保存するためのものです。

    実行時に音声ファイルを指定すると、GPUを利用して音声認識を行い、認識した文章を画面に表示するとともに、同じフォルダ内にテキストファイルとして保存します。

    ファイル名をtest.pyとして保存します。GPU動作確認用test.pyを書き換えます。

    import sys 
    from faster_whisper import WhisperModel 
    
    if len(sys.argv) < 2: 
    print("音声ファイルを指定してください") 
    exit() 
    
    audio_file = sys.argv[1] 
    
    model = WhisperModel( 
    "large-v3", 
    device="cuda", 
    compute_type="float16"
     ) 
    
    segments, info = model.transcribe(
    audio_file, 
    language="ja"
    ) 
    
    output_file = audio_file + ".txt"
    
    with open(output_file, "w", encoding="utf-8") as f: 
    for segment in segments: 
    print(segment.text) 
    f.write(segment.text + "\n")
    
    print(f"\n保存完了: {output_file}")
    

    7-1.必要なモジュールの読み込み

    import sys 
    from faster_whisper import WhisperModel 

    sysはコマンドライン引数を取得するために使用します。

    WhisperModelは faster-whisper の音声認識モデルを利用するためのクラスです。

    7-2.音声ファイルの指定確認

    if len(sys.argv) < 2: print("音声ファイルを指定してください") exit()
    

    プログラム実行時に音声ファイルが指定されているか確認します。

    例えば、

    python test.py sample.m4a

    のように実行すると、

    sys.argv[1]

    に音声ファイル名が格納されます。

    指定されていない場合はエラーメッセージを表示して終了します。

    7-3.音声ファイル名の取得

    audio_file = sys.argv[1]

    コマンドラインで指定された音声ファイル名を変数に保存します。

    7-4.Whisperモデルの読み込み

    model = WhisperModel(
        "large-v3",
        device="cuda",
        compute_type="float16"
    )

    ここで文字起こしに使用するAIモデルを設定しています。

    ・large-v3:高精度モデル

    ・cuda:GPUを使用

    ・float16:GPU向け高速演算モード

    今回の環境では RTX 4060 Ti を利用しているため、高速かつ高精度な文字起こしが可能です。

    7-5.音声認識の実行

    segments, info = model.transcribe(
        audio_file,
        language="ja"
    )

    指定した音声ファイルを日本語として認識します。

    認識結果は segmentsに格納されます。

    7-6.出力ファイル名の作成

    output_file = audio_file.rsplit(".", 1)[0] + ".txt"

    例えば、

    meeting.m4a

    であれば、

    meeting.txt

    という出力ファイル名を生成します。

    7-7.文字お越し結果の保存

    with open(output_file, "w", encoding="utf-8") as f:
        for segment in segments:
            print(segment.text)
            f.write(segment.text + "\n")

    認識した文章を1行ずつ

    ・画面に表示

    ・テキストファイルへ保存します。

    7-8.保存完了メッセージ

    print(f"\n保存完了: {output_file}")

    文字起こし終了後に保存先ファイル名を表示します。


    8.文字起こしの実行

    仮想環境下に移動します。(記述済)

    PowerShellを起動し、仮想環境があるフォルダへ移動します。

    cd .\whisper_env

    実行後は次のように表示されます。

    PS C:\Users\PC_user1\whisper_env>

    仮想環境を有効にします。

    次のコマンドを実行します。

    .\Scripts\Activate.ps1

    正常に有効化されると、プロンプトの先頭に仮想環境名が表示されます。

    (whisper_env) PS C:\Users\PC_user1\whisper_env>

    音声ファイルを指定してtest.pyを実行します。

    test.py 20260419_090922_2.m4a

     正常に文字起こし開始しました。

    保存された文字起こしテキストファイル


    9.文字起こし用バッチファイルの作成

    文字起こしバッチファイル作成の意義

    通常、faster-whisperで文字起こしを行うには、

    cd C:\Users\PC_user1\whisper_env
    .\Scripts\activate
    python test.py 音声ファイル.m4a
    のように毎回複数のコマンドを入力する必要があります。

    しかし、文字起こしを頻繁に行う場合、

    ・仮想環境の有効化

    ・プログラム実行

    ・音声ファイル指定

    を毎回入力するのは手間になります。

    バッチファイルによる自動化について

    作成した

    run_whisper.bat
    は、
    仮想環境の起動
    
    test.pyの実行
    
    音声ファイルの受け渡し
    を自動で行います。

    利用者は

    音声ファイルを
    run_whisper.batへ
    ドラッグ&ドロップ

    するだけです。

    @echo off cd /d C:\Users\PC_user1\whisper_env 
    call Scripts\activate.bat
    python test.py pause

     メモ帳に上記をコピーして貼り付けます。

    名前を付けて保存します。

    「ファイル」→「名前を付けて保存」

    保存場所:ディスクトップ

    ファイル名:run_whisper.bat

    ファイルの種類:全てのファイル

    「テキスト文書 (*.txt)」のままだと
    run_whisper.bat.txtになって動きません。

    これでバッチファイルが作成されました。

    音声ファイルをrun_whisper.batファイルにドラッグ&ドロップします。

    自動で文字お越しが開始されます。

    終わると文字お越しテキストファイルがディスクトップに作成されます。

    10.動作評価と使用感

    実際に57分29秒の音声ファイルで検証したところ、文字起こしは5分48秒で完了しました。

    実時間の約9.9倍の速度で処理できており、RTX 4060 Tiとfaster-whisper、CUDA 12.9を組み合わせたGPU環境の効果を実感できました。

    CPU処理と比較すると

    5~10倍以上高速化している可能性があります。

    長時間の会議録音でも短時間で文字起こしできるため、実用性は非常に高いと感じました。

    実用レベルでかなり優秀です。

    以上です。

     

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